「心に留めた風景」30
「料理撮影」
よくね、料理カメラマンは 「高級なお店の美味しいグルメが味わえて羨ましい。」なんて言われる。 それは確かに事実なんだけど・・・
以前、料理雑誌に携わっていた関係で、 一流料亭や、3つ星級レストランに取材に趣き、 ついでに高価な料理など頂戴する機会は少なくない。 しかし、最上のフルコースなど戴いても、 美味しく感じたことは一度もない。 ただ急いで喉に流し込むだけ、砂を噛んでいる状態なのだ。 何故ならそれは食物としてではなく、 撮影セットの中に置かれた“撮影用小物”と捉えているからだ。 カメラマンが口にするのは大抵撮影終了後の賞味時間が過ぎた品。 スープやお椀は既に冷めているし、冷やしたものは溶けだしている。 さらに、あちこちいじり回している。
僕はやっぱ、自宅で古女房の顔なんか眺めながら、 冷蔵庫の隅の残り物なんかをつつくのが一番幸せだ。
いじり回して食べられなくしてしまった「鰯寿司」。
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