「心に留めた風景」32
「近未来の光景」
僕は中学1年頃から近視になり、眼鏡着用を余儀なくされた。 当時はまだ大人でもメガネを掛けている人が少ない時代なのに、 自分だけが視力が退化したように思えて、嫌悪感や劣等感に苛まれた。 レンズ補助器具で矯正しなければならない自分の眼球を呪ったものだ。
画像は2000年代に都内で撮影されたスナップだが、 異様な容姿に違和感を覚えてカメラを向けたのを覚えている。 恐らく花粉アレルギー対策のための予防的処置なのだろう。 今日、街を歩く人々は顔を覆うマスク姿が常態化していて、 もはや誰も関心を向けないだろう。 また数年後には常態化した眼鏡の興隆と同様に、 近未来映画や漫画が指し示すがごとく、 花粉症や大気汚染、細菌感染などの予防対策で、 鼻や口を覆うガスマスクのような装置を着用した人々の姿が、 日常的光景になる時代がやってくるのかも知れない。 それがいよいよ現実味を帯びてきた今日この頃だ。
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