色素内視鏡ブリリアントブルー法

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内視鏡前処置と実際の観察例について

前処置液の調整法

  • 1%ブリリアントブルー(BB)溶液をつくり加熱滅菌し褐色瓶で冷蔵庫内に保存しておく(1年おいても変質しません)
  • 内視鏡検査当日の朝、水道水100mlにBB溶液10mlを加える
  • これに、プロナーゼMS1包、重曹1.2g、ガスコンドロップ5mlを追加してよく混ぜておく
  • 冬期には、この前処置液全体を体温程度に温めておきます
色素のブリリアントブルーは食用青色1号のことで、人体には無害です

内視鏡直前処置の実際と内視鏡時の注意点

  • まず、鎮痙剤1Aを筋注します(前立腺肥大・緑内障・心臓病など鎮痙剤禁忌の人を除く)
  • 患者さんにベッド上に横たわっていただいて、極めてゆっくりと(1分間に1回程度)右回りに5分間回転してもらいます
  • 引き続き、内視鏡前に行う通常の咽頭麻酔を行ってから、内視鏡を挿入します
  • 胃内には色素液がかなり残っていますから適宜液を吸引除去し、しかも先端が粘膜に接触しないように内視鏡を進めることが肝要です
  • 慣れると検査に要する時間は2~3分で、この間に胃の酸分泌状態・腺萎縮の有無と程度・癌や潰瘍などの局在病変の診断が可能です

ブリリアントブルー法による内視鏡像の紹介

電子内視鏡像

56歳女性の胃粘膜です。依光が開発したブリリアントブルー法による色素内視鏡で、電子スコープを用いて観察 したものです。このようにやや緑がかった色調を呈し、この画像よりももっと近接してみると、大小の不同がなくよく整った 直径1mm程度の胃小区を観察することができます。これがまったく胃炎がない正常な胃粘膜です。
このような胃粘膜では、ほとんどの例でヘリコバクター・ピロリは生息していません。

電子内視鏡像

69歳女性の胃粘膜です。このように全体的に青い色調を呈し、この画像よりももっと近接してみると、毛髪ほどの細い青い線が 無数に観察できる像は、腸上皮化生という変化を伴った高度の「慢性萎縮性胃炎」の粘膜です。上の写真と同じ部位の写真ですので、比較してみてください。 全く違うことがわかると思います。 このような例では、十分に注意して観察し、腺腫や分化型胃がんの小さい病変を拾い出すことが肝要です。

電子内視鏡像

68歳男性の胃粘膜です。すぐ上の写真と同じように全体的に青い色調を呈し、毛髪ほどの細い青い線が 多数みえます。高度の「慢性萎縮性胃炎」の粘膜で、画面中央やや上には、楕円形ですこし明るい色調のわずかな隆起が認められます。 これが腺腫で、この病変の直径は8mmほどです。

電子内視鏡像

左の写真で、鮮やかな赤い部分が胃がんで、医学用語では粘膜内がんといい、治療によって完全に治癒し、転移したり再発し たりすることはないと考えてよい、極く早期の病変です。治療についていえば、大きさがおよそ2cmですので、この大きさの場合には 内視鏡治療も可能な例もありますが、一般的には外科手術を行います。 病変の周りの青い部分は、上に述べた腸上皮化生という変化を起こした、高度の「慢性萎縮性胃炎」の粘膜です。

電子内視鏡像

左の写真ほぼ中央の、平らな赤い部分が胃がんで、医学用語では「Ⅱb型早期がん」といい、大きさが約1cmですので、内視鏡による治療が 可能で、内視鏡による粘膜切除によって完全に治癒します。
なお、病変の周りの粘膜の色調が正常胃の色とまったく異なることに注目してくだ さい。この感じが活動性のある「慢性萎縮性胃炎」の所見で、青い部分が散在してるのは腸上皮化生が混在してるからです。

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