フォクトレンダー:初期型ブリラント(金属ボディ:スコパー付き)の分解・レストア

JFC会のHIROさんからレストアの依頼があったブリラント。外観はボロボロであるが、スコパー(F=7.5cm 1:4.5)はきれいである。ブリラントはベークライト製ボディのものが多いがこれは初期型で金属ボディである。あちこちがリベットで固定されているので分解ができない部分がある。その意味ではベークライト製のボディの方がおすすめだと思う。

2002年2月7日

 

 

ボロボロの姿である。

シャッターは全く動作しない。あちこちにいじり回された瘢があるジャンク。どうも部品に欠品があるようである。

 

とりあえずレンズブロックから分解していく。

一応コンパーラピッド。なんとか原型をとどめている。シャッター羽根は腐食していて表面がザラザラである。

シャッターチャージ用のカム(右下)にバネがかかっているはずなのだが欠品しているようである。

シャッター羽根がひっかかるので羽根までの分解が必要である。後ろ側からネジを3本はずせば簡単に分解できる。

このあたりのメンテのし易さはさすがコンパーである。

一枚一枚羽根をはずしていくとサビがボロボロと落ちる。トホホの気分で分解を続ける。

羽根の表面が一部腐食してザラザラになっているため2000番のサンドペーパーで滑らかに整形した。その後ベンジンで洗浄し組み上げた。

以上の作業で問題なくシャッターが開閉するようになった。

ここがもう一つの問題箇所。内側にピンを押さえ込むバネがあるはずなのである。

どのようにバネが掛かっていたかわからなかったのでローライフレックス(オートマット2)のコンパーラピッドを開けてみた。

そうか、このようになっていたわけである。

極細のピアノ線を整形してこのような形に仕上げた。と簡単に書いたが実際には2日がかりであったのである。

非常に小さな部品なので拡大鏡を使わないと難しい。

スローガバナも粘っているので取りはずして洗浄・注油を行った。バネの強度を調整する溝が三つあるので適当な位置にかける。

コンパーラピッドはガバナーの真下にシャッター羽根があるので、取り外さずに注油することはおすすめできないすぐに羽根に油がまわってしまうのである。

スローガバナ。当然ながらローライフレックスのコンパーと同じ部品である。

B,Tが不調など、まだ完璧ではないが疲れたので一応レストア終了とした。

自動巻き止めはない。フィルムのカウンタは矢印の部分の歯車がフィルムの遮光紙との摩擦で回転する仕掛け。スプリングが弱っているとすべる。注油してスムーズに動くようにしておく。

なお、撮影時には下側にある赤窓に6x9判の1コマ目のマークを表示させた後、カウンタをリセットする。不安定な仕掛けなので赤窓式の方がいいと思う。ベークライトのブリラントは赤窓を使うことができるのである。

あ〜、疲れた!!

コンパーラピッドのすばらしいメカニズムの一端はわかったのであるが、この作業実は四日ががりだったのである(爆死)