キャノン:デミEE17の分解・レストア

 

これは私の初めてのレストア成功例です。ビュッカーさんに大変お世話になりました。

このカメラ、本当に良く写りますね。作例

故障の多いEE関係はここにまとめてあります。

外皮を破ってしまった人のための型紙(Photoshop PSD形式)

たかさき もとひろ:2001年1月3日

 

これが一山なんぼのジャンクで手に入れたデミ EE17です。

問題点は、

  • あちこちがへこんいる。
  • 巻き上げ不能。
  • 電池の液漏れでレンズの周囲まで浸水状態。
  • EE不動

とにかく最低の状態です。

あちこちデコボコです。写真は木槌でへこみを修正した状態です。

「モナカ」は柔らかくても、中身は頑丈に作られています。

ぼろぼろの合成皮革が張られていましたが、はぎ取る時にばらばらになってしまいました。

ホームセンターで売っている「カニ目」の代用品。TOP NN-100と書いてあります。たしか1000円ぐらいだったと思う。

大変に使い勝手がよいのでぜひ手に入れてください。

まず、フィルムの巻き上げレバーをはずします。簡単に回ります。
フィルムの巻き取りレバーもとります。これも回すだけで簡単にはずれます。
「モナカ」の皮をはずします。EE17は皮が上下に分かれています。まず、皿ねじを4本はずします。
「カニ目」代用品でセルフタイマーの金具をはずします。
上のカバーをとります。フィルムカウンターのリセットのための金具がでていますので、指で押し込んでからカバーを持ち上げます。

軍艦をはずした状態。

露出計に行っているケーブルは腐食してバラバラになっていました。Cdsまではずしてケーブルを付けなおしましたが、メータは反応しませんでした。どうもCds内部での断線のようです。EE(死語)はあきらめました(^^)

同じように底をはずします。電池ボックスのふたもたらないとはずれません。このデミの場合、液漏れでふたが固く固着していたので、はずすのが大変でした。

メーターは自体はOKでしたが、Cdsの内部まで腐食がすすんでいたためにオートは断念しました。

CdsがOKのジャンクを探したいと思います。(後日発見してニコイチに成功しました(^^))

セルフタイマーの部分です。

この下が覗きたいのですが、これ以上やると元に戻せなくなる可能性大なので今回は撤退(^^)

バラバラになったデミ。素人なのでレンズには手をつけていません。あとで結局ばらしてしまいますが(^^;

シャッターが切れたり切れなかったり。ジッポーのオイルを数滴たらすと動きます。でも乾くと元の木阿弥。

ビュッカーさんに教えていただいてオイルを少し差しましたが、うまくいかないので、セルフを動かすレリーズとシャッターのレリーズを編み線で結び、そのはしを半田付けしました。(あくまでも緊急避難的措置です(^^))

セルフのレバーをうっかり回すと、またバラバラに分解する必要がありますので、レバーはとってしまいました。

とりあえず、写真がとれるようになりました。

ストロボもOKです。

おとなりのカメラはキエフ4Mと初代エレクトロ35。

ついでに皮を張ります。100円ショップで売っているブックカバーがよさそうだったので3色300円で買ってきました。

完成。かわいいデミちゃんになりました。

結局、レンズも全部ばらばらにしてクリーニングしてしまいました。

露出計はコシナのヤツです。

20001年2月12日、例の緊急避難的措置が気になるので、再度分解しました。

今度は、本物のカニ目があるのでレンズをはずすのは楽です。
シャッターには問題ないのですが、構造を見るために分解してしまいました。

初代デミのシャッターと似ていますが、オートの部分が少々複雑です。

レンズボードは4本のネジをはずすだけで取れます。

シャッターチャージの連動部ははめ込み式のワッシャーで固定されていますので、先の細いドライバではずします。飛ばして紛失しないように気を付けてください。

不幸にも飛ばして紛失した場合。大丈夫です。より線で固定・半田付けでなんとかなります。

セルフタイマーの下がシャッターの連動部です。

バラバラになり、ほとんどオーバーホール状態です。

EE機構の超シンプルな配線がわかると思います。水銀電池にメーターと感度調整用の半固定抵抗が入っているだけですね。電池の電圧が低下するとそれに比例して露出がオーバーになります。EE関係の詳細はこちら

気になる人は、露出計にのっている半固定抵抗で調整してください。

このカメラの場合はCdsが死亡していますので関係はないのですが(^^;;

 

レンズボードの裏。

ネジを二本はずすだけで、セルフとシャッターチャージの連動部が簡単にはずせます。

内面反射の処置はされていないのか、それとも剥げてしまったのか?

艶消しのエナメル塗料で塗装しました。

セルフの構造。

ベンジンで洗浄後、歯車の軸と可動部に注油しました。

歯車に直接注油することは避けた方が良いようです。

この部分がシャッターレリーズの連動部。

これを微妙に下側にまげるとシャッターが切れるようになります。やりすぎると簡単に折れてしまい、ジャンクを求めてさまよう羽目になります。

また、やりすぎるとセルフがおかしくなります。カットアンドトライで試してください。

このピンはシャッター内部のカムに連動しています。バネの力でシャッターが切れるようになっていますので、内部のカムの動きがしぶいとバネが伸びるだけでシャッターが切れません。

ここを曲げる前にシャッター内部のカムの動きをチェックし、注油を行ってください。

 

このデミは比較的初期型のようです。その後、後期型と思われるもう一台のデミを分解しましたが、細部がいろいろと変更されています。

後期型は

  • 露出計の取り付けネジが3本から2本に減っている。
  • セルフの連動用ばねが一回り大きいものになっている。
  • フィルム感度調整用のロータリースイッチの接点が大きくなりクロームメッキされている。

などといろいろとマイナーチェンジがなされています。

 

   
キャノンカメラミュージアム によると
  • 型式 35mmレンズシャッター式ゾ-ンフォ-カス・ハ-フサイズカメラ
  • 画面サイズ 24×18mm
  • 標準レンズ SH30mm F1.7(4群6枚構成)
  • シャッター セイコ-シャ、1/500〜1/8秒、B、セルフタイマー内蔵、フラッシュシンクロはX接点式
  • ファインダー ブライトフレーム付き逆ガリレオ式ファインダー、倍率0.45倍、視野率90%、視野内右に露出計指針と適正露出窓(絞り目盛り付き)、その両端に露出オーバーおよび露出アンダー域表示と連動範囲外警告、視野下部に近・中・遠距離を表すピクトグラフとレンズのフォーカシングリング操作に連動する 距離合わせ用指針
  • 焦点調節 レンズのフォ-カシングリングによるゾ-ンフォ-カスマ-ク式、0.8〜15m(∞)、1・3・15m位置に近・中・遠距離を表すピクトグラフ付き、フォ-カシングリング上に距離目盛りあり
  • EE機構 CdS素子使用のシャッタースピード優先式EE、 測光連動範囲はEV4.5(1/8秒、F1.7)〜17(1/500秒、F16)=IOS 100、
  • フィルム感度使用域=IOS 25〜400 フィルム装填・給送 裏蓋開閉ス-プル差し込み式、上部レバ-145度回転(予備角20度)、小刻み巻き上げ可能
  • フィルムカウンター 裏蓋開放に連動して自動復帰する順算式 フィルム巻き戻し 上部回転クランク式
  • 大きさと質量 117×71×48mm、445g

ということだそうです。