アイレス写真機製作所(Aires):アイレスフレックス オートマット(AiresFlex Automat)のレストア

ヤフオクをパトロール中に発見。少々高かったのだが希少品種のためゲットした。最短撮影距離は2feetである。

2003年6月15日

 

左は奥井@hottyさまが発見、宮本@BINさまが救出に駆けつけてくださったアイレスフレックスZ型(ニッコール)。6000円台の物件。

右が希少種アイレスフレックスオートマット。レンズはもちろんNikkor Q 1:3.5 f=75mm。レストア後に撮影した。

アイレスフレックスZ型(ニッコール)のレストアはここにある。

右がアイレスフレックスZ型、左がオートマット。外革は張り替え後である。クランク式の巻き上げとセルフコッキングが特徴である。
数回シャッターが切れて喜んでいたらすぐにチャージしなくなってしまった。古いカメラなのでこんなものであろう。

シャッターチャージ用のカムが十分上に上がらないためにチャージされない。シャッターユニットは正常であった。

あちこち部品をはずして動作を検証した結果、犯人はこれ。このカムが上に上がらないとシャッターはチャージされない。矢印のバネがポッキリと折れている。

取りだしてみるとこういう状態。修理としてはやっかいである。
この小さなスペースに強力なバネを組み込む必要がある。

ホームセンターを探すとちょうど同じサイズのピアノ線が在庫していた。5mで210円だった。使うのは数cmなのでもったいないけどしょうがない。

こうかかっていただろうと予想してはめ込む。実際には小さなスペースなので非常に面倒である。このカムにはかなりの力が加わるためバネの折損事故は多そうに思う。

カウンタも分解掃除。このあたりは普通の二眼レフと全く同じ構造である。
シャッターユニットもZ型と同じでセイコー社ラピッドである。レンズも同じであろう。ビューレンズはView-Nikkor 1:3.2 f=7.5cm No.44146。テイクレンズはNikkor Q 1:3.5 f=75mm No.39372。
開けて注油を行う。

最初の写真を取り損ねたのでヤフオクの写真を拝借。

アイレスフレックス オートマット型の造りはイマイチであちこちにアルミや紙のスペーサが入っていた。四畳半メーカの二眼レフと大差ない工作精度である。

どうも調子が悪いので再度分解
2003年7月6日追加

どうもピントが出ない。ピングラできちんと調整してもピントがずれるのである。ということはピングラの位置とフィルム面の位置が違うはず。

圧板をよく見ると矢印のような突起がある。これがダイキャストボディのでっぱりにあたるようになっている。ノギスで計ってみるとこの突起があるとフィルムに圧板の力が全然加わらないことがわかった。

問題の突起。トンネル式の圧板なのであるが、アソビが多すぎるのである。

きっと他のアイレスフレックスの裏蓋に付け替えられているのであろう。巻き上げは重くなるが削ってしまう方が平面性には有利である。

ついでのトラブル巻き上げのロック。突然巻き上げができなくなるのであった。丸印の部分のカムが噛み合うと巻き上げが可能になる。

ダミーのフィルムを入れて数10回ほど巻き上げを繰り返していたら運良くトラブルが再現。カムの表面の平面性が悪く時々引っかかってしまうのであった。本来はサンドペーパーで磨きたい所であるが、カムはリベットでとめられているので分解できない。そこで「鍵穴のクスリ」をシュッと一拭き。

 

これでスムースに動くようになった。いやはやアイレスフレックスは工作精度が悪い。
スローも不安定になったためシャッターを開ける。
ガバナをはずして洗浄・注油を行う。セイコーシャラピッド(コンパーラピッド)はガバナの直下にシャッター羽根があるためガバナを組み込んだままの注油は絶対にしてはいけない。
この状態でガバナを洗浄し、軸の部分にごく少量注油するのである。