Franke & Heidecke :ローライフレックス2.8Fのレストア (Rolleiflex 2.8F 12/24 planar 80mm F2.8)

虎の子の2.8F。取材中にだんだん巻き上げか固くなってきてスタック。まともに修理に出すと6万円との話なので自分で開けてみた。

2004年4月23日

 

数年前にオークションで落札したローライフレックス2.8F(たぶん)プラナー80mm F2.8。フード・フィルタ付きで8万円台だった。

ビューレンズには小キズがあるがテイクレンズはきれいなのだ。

分解は他の二眼レフとまったく変わった所はない。ただし、部品を破損すると部品取りのジャンクを入手できる可能性がほとんどないので慎重に作業を行う。

フリクションをつけるためのコルク片はボロボロに風化していた。

見慣れた構造である。右上のギアがフィルム軸に直接連動するのであるが、なんと完全に固着して動かない。

矢印のギア。ただはめ込んであるはずなのだが、回転もしないし、引っ張っても抜けもしない。

国産の安物二眼レフなら小さな角材でもあてて木槌でたたくところだが、もしこのギアを破損すると高価なジャンクの出来上がりとなる。

ベンジンをしみ込ませること数十分。わずかに回転するようになった。そこで少し注油して一晩おくとあっさりとはずれた。

やはりただはめ込んであるだけ。長年の金属粉と劣化したグリスで固まってしまっていたのである。こうなればしめたもの、ベンジンで洗浄、グリスアップして組み込むだけ。

巻き上げは非常に軽くて軽快になった。

12/24の切り替えカムなど、油切れの場所に注油して作業終了。

構造的には簡単なのだが、あまりにも高価なカメラなのでびびってしまった。

買った時からメータは不動だった。開けてチェックすると特に問題はない。
繰り出し側の側板を開けてみる。セレンへは巻き上げノブの下にある接点から配線されている。
側板の裏。ISO設定(露出補正)は機械的にセレンメータのアームを動かすことで行われる。
これが被写界深度目盛りを動かす部分。前板を繰り出すとここが動く仕掛けなのだがまったく動かない。嫌な予感が。。。

前板をはずしたところで愕然とした。

シャッター・絞り情報、距離情報を伝えるためのギアがない!!

部品取りされたのか、リペアマンが落っことしたか?このギアがないと露出計の連動・被写界深度表示は絶対に無理なのであきらめるしかない。

この部品の詳細については、「すぐにも出来る簡単修理」を参照のこと。

シャッターはおなじみのシンクロコンパー。

ガバナの洗浄・注油、各部への注油を行ってシャッターはOK.

シャッターストロークが長いのはシャッターボタンの中にあるべき心棒が欠損しているのが原因であった。これは手持ちの真鍮棒で作成した。

この個体はかなり腕の悪いリペアマンがいじりまわしたものだったのである。まぁ安かったのでこんなもんでしょう(号泣)

試写してみると自動巻き止めは働くもののシャッターを切らなくてももう一度巻けることが判明。

完動品のローライフレックス MXを開けて動作を比べてみた。驚くべきことに両者の構造は二重露光機構以外はまったく同じである。

これがローライフレックスMXの巻上げロック用カム。
これがローライフレックス2.8Fの巻上げロック用カム。この隙間を縮めることで調整が可能であった。やりすぎると不吉なことがおこる可能性があるので慎重に。