カメラ・ベルクシュテッテン:プラクチシックス(Praktisix)のレストア

1957年に発売された6x6判一眼レフカメラ。東独ドレスデンにあったKW社(Kamera Werkstätten)は後にペンタコン社に統合されているので、ペンタコンシックス・エキザクタ66・キエフ6Cなどと同じプラクチカマウントである。横走り布幕フォーカルプレーンシャッターでB,1〜1/1000。

2005年5月7日

 

  • 某ライターさまに以下のトラブルをかかえた個体を頂いた。
    • フィルムコマ間がズレる(コマが重なる可能性あり)
    • シャッタースピードが指示値のほぼ半速程度
    • シャッタースピード設定ダイヤルの指示値がシルク印刷でスレて消えかけている
    • ウエストレベルファインダーの折り畳みヒンジ金具が片側欠損
    • フィルム面と焦点板の位置がズレている。
  • なかなか手ごわい故障であるね(笑)
  • ピングラにはコンデンサレンズがあるので案外明るいかも。
  • トップカバーをはずす。
  • 巻き上げ・シャッタースピードダイアルの飾りネジをはずして、後はネジ数本。特に困難はない。
  • 左側がスローガバナ、右側が巻き上げ・シャッターチャージ部。
  • 部品は案外少なくて、ここまでの分解なら5分もかからない。
  • ミラーはクイックリターンではない。巻き上げるとファインダ像が現れる仕掛けである。
  • 矢印のネジをはずすと先幕・後幕のタイミングを調整するギアがフリーになる。このギアの噛み合わせを微調整することでシャッタースピード・巻上げストロークの調整が「ある程度」可能なのであるが、実際は非常に難しい作業である。
  • 他に調整する方法がないかじ〜っと見てみたがどうもなさそうである。
  • 全体をボディシェルから抜いて作業する方が良さそうだね。
  • ちなみに世間で言われているほど強度的に問題のある部品は見当たらない。
  • シャッタースピード切り替えカム。
  • この下にスローガバナがあるので注油しておく。
  • ピングラの位置調整はこのストッパーと
  • このネジで行う。
  • テレビ画面を使った簡易テストではそこそこシャッタースピードも出ているようである。
  • レンズはカール・ツァイス・イェナのビオメタ80mm/F2.8。
  • 余談であるが、この森下雨村(1890-1965)という作家は高知県高岡郡佐川町出身なのである。釣りの醍醐味をつづった随筆集「猿猴川に死す」(昭和44年刊行)はたいへん面白い。ちなみに「猿猴(えんこう)」は土佐弁で「河童」のこと。
  • コマのばらつきが問題になるカメラなのであるが、分解整備した本機は調子が良いみたいである。コマ間隔が狭いので13コマ撮ることができる(っていいことなの?)。
  • 巻き上げは必ず一回のストロークで行わないとダメ。手がすべると一コマ損することを覚悟する必要がある。なかなか作法にうるさいカメラなのである。
  • コマ間隔の調整部を発見した!!
  • なんのことはないトップカバーの上にあるこの飾りネジが偏心ネジになっているのだ。コロンブスの卵的仕掛けである。
  • 単なる飾りだと思い込んでいたのだ。
  • 回転するストロークが長くなればコマ間隔は長くなる。 マイナスドライバ一本で調整可能。世間で言われているようにコマ重なりを頻繁におこすカメラなら20年以上にわたってロングランを記録するはずはないのである。
  • ググッてみると、baier fototechnikという所できちんとした調整ができるようなので、お金が余っている人は相談してみてもいいかも。Price incl. installation into your camera: Euro 93,-とある。
  • 純正ストラップもときどきebayで見かけるが結構レアアイテム。
  • 某ライターさまにマミヤM645のストラップが使えると聞いたので試してみた。
  • チャージしたままストラップを引っ張るとシャッターが暴発するので注意。シャッターボタンにはロックがあるので実用上は問題なさそうである。