アイレス写真機製作所:アイレス35-IIA (Aires 35-2a)のレストア

1955年12月にアイレス写真機製作所から発売されたレンジファインダーカメラ。

2005年1月8日

 

JFC会のどなたからいただいたカメラ。ヘリコイドが完全に固着していたのでどうにもならずに放ってあった。

思い立ってここまで分解したが固着の嵐で数日を要した。シャッターブロックを固定するリングが固まっていたのでベンジンに3日漬け込んで力任せに回したらやっとはずれた。

距離計はごく普通の仕様である。
前板をはずす。左側にある扇型のギアがシャッターレリーズ用である。ここと前板側の噛み合わせのトラブルが多そうな仕掛けである。
このギアと先ほどの扇型ギアが噛み合う。結構ガタがあり噛み合わせがずれるトラブルがおこりやすい。何らかの対策が必要である。

ヘリコイドはプライアーで回してもダメ、ベンジンに漬け込んでもだめ。最後の手段でアセトンに1週間漬け込んだところあっけなく回った。どうやらヘリコイドの固着にアセトンは有効なようである。

<注意>アセトンは揮発性・引火性が極めて高いので部屋の中で作業してはならない。密封できる容器にアセトンを入れてヘリコイドブロックを沈めたまま屋外に放置する。

肝心のギアはなんとも仕上げが悪い。
このギアも心もとない。シャッターリリース用のギアである。
底部のギアは工作精度がよさそう。

距離計を降ろすとなんにもない。シンプルな巻き止め機構はすばらしいアイデアだと思う。

このカメラは自動巻き止め、二重露光防止機構はついているもののセルフコッキングではない。

前板には不要なネジ穴が何個か切られているが、遮光のために裏側から外革のハギレでふさがれている。他機種との共用なのか、はたまた試作のときの名残りなのか。
分厚い貼り革は強固に接着されていてはがすのに非常に苦労した。

シャッターが粘るので分解しようとしたら前群が固着してはずれない。アセトンもCRCも全く無効。

最終的手段はプライヤー二本での力技。渾身の力を加えてやっと回った。この個体は保存状態が悪くあちこちがサビていた。

開けてみると見慣れたセイコーシャMX。ちょいちょいと分解掃除して終了。
100円ショップのバインダーを使って革を貼った。
なかなかカッコイイのではないかな?発売当時は19000円だったそうである。
Q Coral 1:2.8 f=5cm(3群4枚のテッサータイプ)。ピングラでみると比較的良い画像を結ぶ。
F5.6, F8.0の被写界深度目盛りがついている。
シンクロもOK、いざ出陣!!