Garrard Zero 100 レコード・プレーヤーの修理


 

  • 普段はGarrard 301を使っているのだが、そもそもGarrardは普及型オートチェンジャーのメーカーとして有名だった。
  • ebayにトラッキングエラーを少なくする仕掛け(回転シェルみたいなもの)を搭載したGarrard Zero 100のジャンクが出ていたのでポチってみたら、これが思い切りジャンクで苦労したというお話。

  • カバーはバラバラに破損、アームの上部の澄明パーツ(インサイドフォースキャンセラー)の破損。梱包を解くといろいろな部品が散乱した状態だった。
  • 以前から知ってはいたが、ebayは怖い所であるw
  • スイッチを入れてもプラッターは全く動かないので分解をはじめた。
  • プラスネジ6本はずすとプラッター・サブプラッターがはずれる。
  • 機械的な部分は比較的きれいな状態。
  • Cリングをはずして、固まったグリスを除去し、シリコングリスで置き換える。
  • 下にあるのがオート機構全てをコントロールする回転カム。
  • こちらはスイッチの動きをメカニズムに連動させる部分。
  • 心臓部のシンクロナスモーター。
  • はずしてクリーニングし、軸に注油したが、もともと動きに問題はなかった。
  • ちなみに、モーターの後ろに見えているマイナスネジは、プーリーの位置を微調整する。
  • アイドラー。
  • 変形はなかったが表面が硬化して滑るので、ボール盤に固定して2000番のサンドペーパーで当たりが出るまで研磨した。
  • ワウフラはひどいがとりあえずプラッターは回転することがわかった。
ところが、今度は、シェルの配線が断線していることがわかった。
  • シェルの取り付けネジは、このような飾り板でカバーされている。
  • これはカメラの修理でよく経験することなので迷うことはない。
  • シェルはこのような特殊な仕様である。
  • マグネット式インサイドフォースキャンセラーの部品。
  • 割れて梱包のなかに散乱していた。
  • アームはネジ一本ではずれるが、当然アーム内の配線はやり直す必要がある。
  • 配線材はひどく腐食していて、軽く引っ張るだけで切れる状態だったので、いずれにしても配線は必要だった。
  • アームのサポート部。
  • 4個のベアリングが使われている。
  • 軽く注油を行った(カメラ用のオイルをベンジンで5%に希釈したものを使った)。
  • アームからコードが出てくる部分。
  • コードをネジで固定している。
  • ここがシェルの取り付け部。
  • この空間を配線が通る。
  • シェルの”ハガネ”も腐食があり、端子も一本折れていた。
  • プレートをはがすと”ハガネ”がこのように出てくるので、ハンダメッキをしたあとリード線をハンダ付けする。
  • この特殊な配線材は、”オヤイデ電気”で扱っている。
  • 商品コード2706、4色1mセットで378円(税込み) 。
  • オリジナルとは雲泥の差。しなやかで扱いやすいし、ハンダ付けも容易。実に素晴らしい線材である。
  • シェルのリード線を気にするオーディオマニアも多いらしいが、ずっと長いアーム内の配線材を吟味してみてはいかがだろうか。
  • とりあえずバラック配線の状態で、導通を確認した。
  • ガラードZeroオリジナルの端子は、端子間が狭く大きめのの高級ピンコードは使用できない。
  • ちなみにアームのウェイトは、内部に洗濯機のホースのようなぐにゃぐにゃのプラスティック部品があって、これで前後を調整する実に大雑把な仕掛け。
  • ウェイトの微調整はこの真鍮部品をスライドして行う。
  • ストッパーはこのようにアームの一部を曲げただけ。
  • アームは問題なく動作するようになったが、プラッターの回転は相変わらず不安定で、とても音楽を聴けるような状態ではない。
  • プラッターのどこにもボールベアリングが使われていないのが不思議に思っていたが、梱包のなかにこんな部品が落ちていた。
  • どうも、これがベアリングらしい。
  • 裏側はこんな状態。
  • プラッターの軸に当ててみるとぴったりはまる。
  • しかし、プラッターの軸の周りにはオート用のカムがすぐ近くにあって、どうやっても入っていかない。
  • Vinylengineで他機種のサービスマニュアルをみると、この部分にベアリングが入っていることが確認できた。
  • そこで、ベアリングのユニットを分解してみた。
  • この状態で、外側をわずかに削るとベアリングを所定の位置に収めることが出来た。
  • このユニットはぜったいに自然にははずれないので、前のオーナーが分解して収拾が付かなくなったんだろうと思う。
  • 裏の部品を全部下ろすと、このベアリングをユニットのまま取り付けることができるが、それではあまりに大修理になるため、このような姑息的手段を選択した。
  • そうすると、回転ムラは皆無となり、ご機嫌なオートプレーヤーとして復活した。
  • ebayのas isは実に深い世界であるので、よほどの酔狂な人間しか手を出してはいけないのであるw
  • ちなみにプレーヤーカバーはこんな状態
  • これはebayに出ていたときの写真w
  • で、考古学的修復成る!
  • バラバラの破片をアクリルサンデーで接着した。
  • ちなみに針が落ちる位置の調整はこのネジである。