General Electric UPX-003A フォノイコライザのレストア
General Electricのvariable reluctanceカートリッジ(通称バリレラ)の専用イコライザー。
多数製造されたようで、ebayではよく見かける。
ジャンクを$29.99(送料$50.20)で仕入れて遊んでみた。
このような干物状態で空輸されてきた。
不燃物の日に置かれていても違和感のない物件である。
出力ケーブルは切断されているし、内部にも妙に手が入っているので、まともに動きそうにはない。
付属のACケーブル。
さすがにこれは再利用したくない。
ベークライト製のピン端子が出ている。
このイコライザーは普及品なのか、すべての部品がリベットで止められているので部品交換が難しい。
115V仕様らしい。
オリジナルではなさそうな配線をはずし、電源ケーブルを付けた。
この写真では入力抵抗は60Kぐらいになっているが、本来は6.2KΩあたりがいいらしい。
左上のカラーコードの物件はコンデンサらしい。実測で0.08μFぐらい。
コンデンサのショートもなくセレンも生きていることを確認し、この状態で恐る恐る電源を入れると、なんとノイズもなく普通に鳴ってくれた!
ちなみにフューズなどどこにもない豪快な仕様である!
http://www.vinylengine.com
にUPX-003Bのマニュアルがあるので、ユーザー登録してダウンロードすると勉強になる。
双三極管を使ったNFB型イコライザーのようである。
回路図をじっと見るとコンデンサC6にパラレルに入っているR13(910KΩ)がどこにも実装されていないことに気づく。
なお、セレンの出力には100Ωがシリーズに入っていた。
しかし、マニュアルの次のページを見ると、R13をはずした状態の周波数特性を記載してある。
はずすと低域が多少膨らむだけで、R13はサブソニックフィルタのように働くということか。
マニュアルを読むと実はきちんと書いてくれていた。
C6, R11, R13は低域を補正する。
R1を大きくすると高域が持ち上がる。
RIAAカーブに合わせるためにはR1を6.2KΩにすること。
そういうことらしい。
だったらここにR13がなくてもいいんだろうけど。
とりあえず0.01μFのフィルムコンと1MΩの抵抗をパラにして入れてみた。
そして入力抵抗は6.8KΩにしてみた。
するとずいぶんシャリシャリ感は取れたが、もう少し低域を膨らますといいかも。
ちなみにカートリッジはGEバリレラのトリプルプレイ。
しばらく聴いてみたが、どうも低いほうが出ていない感じがするので、コンデンサーをはずしてチェックしてみた。
これはC1(0.05μF 200V)なんだけど、絶縁抵抗は3MΩでビミョー。
それで容量はというと0.273μF
ペーパーコンは劣化すると容量が大きくなるのか、他の3個のコンデンサも大幅に容量が増えていた。
極力オリジナルの部品を残したいのだけど、絶縁とかやはり気になるので交換することにした。
もちろんオリジナルの部品は大事に保管してある。
フィルムコンも時代考証的にはなんなので、大昔の国産オイルコンを使ってみた。ラジオとか無線機に使われていた普及品である。
出力部にはやや近代的ASCのフィルムコンを使ってみる。
電解コンはおそらく抜けてるだろうから、セレンを気遣って少なめの40μFを追加してみた。
ちなみに、オリジナルの抵抗はおそらくA&B(Allen Bradley)のカーボン抵抗。良い部品を使ってある。
入力抵抗はマニュアルでは6.2KΩが指定されているが、バリレラ・トリプルプレイだともう少し小さい値が合いそうな気がする。
取り合えず半固定抵抗を入れて様子をみることにした。
あれこれやっていると3.2kΩでちょうど良い。
Tadd Dameron & John ColtraneのMating Callのオリジナル盤をかけてWaveSpectraで見ると見事なカマボコ型。
60Hzのハムとその高調波はそれなりにあるが、レコードをかけている時には気にならない。
古いモノラル盤を聴くのにはこれはこれで心地よい。
このコンデンサ。絶縁不良・容量の増加があり、使うのはなかなか難しいけど、捨てるに捨てられず保存することに。
きっとPCBとか入ってそうw
どうも音に力がない気がして、NFBのコンデンサをオリジナルのスプラグ・バンブルビーに戻した。
とたんに音が分厚くなって、唖然とする。
なるほど、エレキギターの人がヴィンテージコンデンサにこだわるのは、そういうことだったか。
セレンもシリコンダイオードに交換してみた。こちらは音の変化がわからない。