Franke & Heidecke :ローライフレックス2.8E(Xenotar)のレストア

こやの氏から瀕死のローライフレックスが持ち込まれた。かなり逝ってる個体(欠品多数・素人修理)で苦労したのである。

2004年7月11日

 

詳しい型番はわからないがピントフードが固定式なので2.8Eなのだと思う。

オートマット機構がまったく働かないしシャッター・絞りダイアルもほとんど動かない。

レンズはHeidosmatは曇っているが、肝心のXenotarの方はバル切れ少々、カビ少々で比較的きれい。

意図的に塗装をはがしている。それにしてもこれほどキタナイ個体は初めてお目にかかった。

まずはオートマットの修理から。ストラップ取り付け金具の固定ネジは前の一本が折れていた。カウンタのレンズも欠品。

内部構造はどのローライでもほとんど同じである。拡大図はココ

これがフィルムのスタート位置を検出する仕掛けを調整する偏芯カム。どうやら反対についている。

取り外して調整することでOKとなったが、このカムの調整は非常に微妙なので素人はいじらない方が良い(と書いている自分が素人だったりするが(笑))

フィルムカウンタの戻りが悪いときはココ。この切り欠きが巻き止めの重要部品である。全部取り外してベンジン洗浄・注油を行った。

これは1937年製のローライフレックスオートマットIIであるが、構造はほとんど同じである。これはシャッターチャージ後もう一度巻き上げをしないようにするためのカムである。

絞り・シャッターダイアルが非常に固い原因を探る。ちなみに前板のネジ2本とシンクロターミナルのカニ目欠品。

どうやら右前から落下したようで前板がへこんでいる。このために各部の動きがおかしいのであろう。

シャッター自体はなんとか動いている。

ここにストッパー用のネジがあるのだが欠品。はずれないようにパーマセルテープでとめておく。
内部は比較的きれいなので注油のみにとどめた。

前板のへこみを修正するためにホームセンターで小さなワッシャを買ってきてスペーサを作った。動きがスムーズになるよう何度もカットアンドトライを繰り返す。

なお、レンズボード自体もつぶれているようでテイクレンズがオーバーインフとなっている。これをなおすためにはレンズボードをたたき出してスペーサを入れて調整しなければならない。手間がかかるので今回はこれで勘弁してもらうことにした。この状態でもビューレンズとテイクレンズの連動には問題ない。

よく見ると歪んでいるのがわかると思う。二眼レフを買うときにはここをよくチェックすること。前板の曲がった個体はそうとうスキルのある人でないとまともに修理することはできないのである。

スペーサで調整してもダイアルはかなり固い。これは露出計への連動ピンだと思われる。この個体には露出計がないので取り外してしまう。これでダイアルは軽く回るようになった。
フードをつけると前板が凹んでいるのがよくわかる。実写してみたがレンズ自体の光軸ずれはなさそうだし、フードによるケラレもみられなかった。

ここのネジが折れていた。ミニルータで折れたネジを削って取り出した。ピントフードの取り付けネジも一本折れていたがこれは実害がなさそうでそのままにした。

オークションには相当あやしい物件が出ていることがある。良い子の皆様はこういうモノに手を出されないことをおすすめする。

もちろん私のような修理オタクにとっては(安ければ)おいしい物件であるのだが(笑)