旭光学:ペンタックスSV(PENTAX SV)のレストア

1962年発売のペンタックスSV。ペンタックスS3にセルフタイマーを内蔵しカウンタを自動復元式としたカメラ。80歳のおばあちゃんから頂いたものである。ありがとね。

2005年7月12日

 

  • 15年来の付き合いのおばあちゃんが使わなくなって押入れに入れていたものを持ってきてくれた。標準、35mm、135mm、それにペンタプリズムに乗っける露出計がセットになっていた。
  • 一応シャッターは切れるものの、後幕のリボンが片方切れた状態。チャージするとミラーアップする。
  • カウンタのカバーは3本のイモネジをゆるめるとはずれる。目盛り板を止めているネジは逆ネジである。
  • 潔いばかりのシンプルさである。
  • ペンタプリズムはビニールカバーとバネで固定されていた。某OMなんとかのようにモルトは使われていない(アイピースの一部を除く)。
  • これはセルフタイマー。注油するだけでOK。
  • シャッタースピードダイアル近くの構造。
  • フレネルとコンデンサレンズの二重構造になっている。
  • エプロンをはずす。矢印の場所にフランジバックを調整するためのスペーサが入っているので場所をメモしておくこと。
  • この個体は、4箇所全部に1枚のスペーサが入っていた。
  • 赤がX接点、青がFP接点への配線。
  • 幕交換をするとシンクロのタイミングも再設定する必要がある。
  • シャッター幕のテンション調整ギアはラチェットになっているので、微調整も容易である。
  • ミラーボックスをはずす。ボディとの噛み合わせは3箇所。非常にシンプルである。
  • ミラーボックスの作りはかなり華奢である(ニコマートなどと比べると)。
  • 先幕のリボンが一本切れていた。
  • 幕と一体になったリボンはどうも弱い気がする。
  • このリボンだけを交換してごまかそうとした。
  • このアームはクイックリターンの仕掛けで一番重要なもの。これを矢印の方向に押し付けるスプリングが折損していたため、シャッターチャージするとミラーアップするという不思議な現象が起こっていた。
  • 組み上げてシャッタースピードを調整していたら、後幕が全く動かなくなった。
  • 開けてみると、今度は後幕のリボンが二本とも切れてしまっていた。
  • 見事に逝ってしまった後幕。
  • 人生手抜きをするとロクなことはないのである(反省)。
  • シャッターの「棹」はカシメられているのだが、リュータでうまいこと削ると再利用可能である。
  • リボンはシャッター幕と一体化されている。
  • 棹の接着には「セメダインスーパーX黒」、これがいい。
  • G系より硬化時間が長いので微調整可能である。
  • 先幕。これもボロボロなので新しく作成した。
  • 本来はシャッタードラムを駆動するギアをすべてはずしてからシャッター幕を取り付けるのであるが、今回はこの状態のまま貼りなおした。
  • 紙テープを使ってうまく軸に巻きつけるとなんとかなる。微妙な位置調整はシャッター幕やリボンのハギレを巻き込むことで可能である(メーカの組み立て時にもそういう技は使われているのだ)
  • ちなみに後幕の位置調整はリボン一体ではうまくいかないので、後でリボンを接着して縫った。
  • ちなみに、下に見えているのがスローガバナ。はずしてベンジンで洗浄・注油する。
  • こんなかんじ。1/1000secでもきちんと開くように調整可能であった。
  • でも、この時代のカメラは1/500が最高速だと思って使ってあげよう。
  • ペンタプリズムにのせる露出計もいただいた。
  • 電池の液漏れで断線しているようである。
  • 赤のリード線がつながっているところが電池ボックスの接点。ここで配線が切れていた。
  • 幸いにメータは断線していなかった。
  • カッコイイのか悪いのか。う〜ん、なんともいえない。
  • とりあえずメータが振れることは楽しいことだ。
  • 手持ちの反射光式露出計の出た目ともほぼ一致するので、実用は可能である。