Meopta:OpemaIIのレストア

Meoptaの名機オペマII。ベラー 45mm F=3.5の写りはすばらしい。画面サイズは24x32mmでライカ判より横幅が4mm短い。レンズテスト

  • 2004年10月31日
  • 2004年11月13日改定

 

浜松のお大尽さまが購入、ジャカルタに旅立ったのであるが、縁あってうちに滞在中。

ライカコピーに分類されるが、フランジバックおよびマウントのピッチが違い互換性はない。
ジャカルタで接眼レンズを紛失したようである。ジャンク箱からプラカメの接眼レンズを探し出した。
やすりで整形してはめ込む。

 

接眼レンズをパーマセルテープで仮に固定して試写を行ったのだが、時々シャッターが半分しか開かないことが判明。シャッター幕にはタッチアップの趾がある。

空シャッターを切っていると症状が再現した。

トップカバーをはずす。巻き上げノブはイモネジをゆるめて逆回転。巻き戻しノブも同様。シャッターダイアルは順ネジだったと思う。
スローガバナがないので恐ろしくシンプルな構造。
距離計。バルナックライカのコピーではない。棒状のプリズムを使った豪華仕様。

バルナックライカと同じで右のカムがシャッターのリリースを行う。ここがたまに引っかかってシーケンスが中断することが判明した。

このカムは左の矢印のバネでシャッター軸に押し付けられている。このテンションを多少抜くことで引っかかりは改善したと思ったのは甘かった。

 

距離計の加工精度は非常に高い。

これは最短距離。

これが無限遠。
底部の構造。バルナックライカと同じである。幕のテンション調整部は止めネジで固定してあるだけなので微妙な調整は難しい。
シャッターがすべったりして不安定なのでこの弓形カムをじっと見てみると削られた趾がまざまざと。下向きに曲げられていたりもする。一度調整を行ったのだろう。

幕が引っかかるのは(1)シャッター軸の油切れ、(2)幕の硬化、(3)シャッター設定軸の曲がり、(4)削られた弓形カム、このすべてが関係していると思われた。

こうなれば完全に分解するしかない。

まずはこのシャッタースピード調整ダイアルの根元にある部品を抜く必要がある。これはイモネジではなく、ピンを打ち込んで固定してあるので、打ち抜く必要がある。

ここでシャッタードラムの軸位置を微調整できるのであるが、場合によってはトップカバーと干渉してしまう。

シャッターブロックは底部から抜き出す。バルナックライカと違ってブロック構造にはなっていない。

幕・リボンの劣化は激しい。きっとオリジナルの部品であろう。

底部はごくごくシンプル。
偏芯ナットになっているのにはあまり意味がない。ある位置でボディシェルにきちっとはまり込むようになっているだけ。
ボディシェル。マウントは裏側から固定されていた。
距離計のアームとシャッタードラムの軸受けが見える。
オリジナルのシャッター幕。ゴム系の接着剤で貼られていた。シャッター柄と幕・リボンの固定はカシメてあり接着はしていない。この金具の面取りが十分でないのでリボンが切れる事故が多発したのではないだろうか。
カシメ部。二度折りになっている。今回はこの金具を利用してシャッターを作成した。よい部品が手に入ればそちらを使うほうが望ましい。面取りがなされていないのがわかるだろうか。ここはサンドペーパーで磨いた。

新しく作成したシャッター幕。幕・リボンはAki-asahi.comで購入した。

シャッター幕は32mm幅で長さは

  リボン(柄を含む)
先幕 80mm 76mm
後幕 93mm 72mm

 

張替え完了。バルナックライカのようにブロック化されていないので幕位置はボディに取り付けたりはずしたりしながら調整する必要がある。非常に面倒である。
シャッターを取り付けるために邪魔なので距離計のプリズムブロックを降ろした。素晴らしい工作精度である。
幕交換完了。これでOKかと思ったらまだ苦難の道がまっていた。

削られた弓形カムのおかげでシャッターが安定しない。バルブを生かすと中間速シャッターがカラ打ちになったりする。カムを微妙に整形すればいけそうな気もするが、やるすぎるとアウトになる。

今回は、1/25, 1/50, 1/100, 1/200が確実に切れるセッティングにした。1/500は切れるが後幕が勝ってしまって画面端が未露光になる。

フェドやゾルキのカムとは微妙に異なるので部品を流用することはできないだろう。ちなみにこのカムにテンションをかけるスプリングはあきらかにオリジナルのものではなかった。もう少しましなピアノ線で代用品を作り交換してある。

愛しのベラーちゃん。

フード径は36mmなのでリコーフレックスのフードがぴったりである。

実写の結果、1/200で先幕が時々バウンドすることがわかった。ブレーキもない構造なのでシャッターのテンションを最低限にまで抜いてあげるしか方法がない。まぁこれでよしとしよう。