小西六(KONISHIROKU):コニフレックスII型(KONIFLEX type 2)のレストア

1952年発売のコニフレックスを改良したもの。1954年発売で33,800円。いつのまにか3台目が手元に届いていた。ヘキサノン85mmF3.5は3群5枚のレンズでヘリアーとやや似た構成であるが、実にすばらしい描写性能を持っているのである。 ,

  • 2004年5月13日
  • 2004年11月29日追加
  • 2004年12月2日追加

 

 

左がNo.12909、右がNo.312112。右が今回入手したものでストロボの端子になにかのアタッチメントが付いている。

巻き上げ側は同じ。
背面も同じ。KONISHIROKU Made in Japanとエンボスされている。ピントフードの形状が違っている。
トップの貼り革のデザインが違う。伊藤二良氏の記事*によれば全面貼革なのはII型後期の仕様のようだが。
裏蓋の止め方が違う。右はパチンとはめ込むだけの簡易的構造なのでI型後期だろうか。左はローライフレックス系の造りでII型ある。
圧板も違う。左にはフィルム押さえ用のローラーがみられる。両者ともに内面反射防止用バッフルがあるので後期型(II型)だと思うのだが。いろんなバリエーションがあったようである。
左のカウンタの前にあるノブの働きは分解してみてやっとわかった。二重露光用というか、ノブがあがっている時には何度でもシャッターが切れる。

スローシャッター不良があるので開けてみる。

これはセルフタイマー用のスイッチ。これを押し込んでからチャージするとセルフタイマーモードになる。

前群は手で回すだけで外れる。

シャッターは通常の二眼レフより大きいセイコーシャラピッドB・1-1/400sec。シャッターの拡大図はここ。右側のギア群がセルフのユニットである。

油切れのみで特に問題ない。

後群の前面にカビ。こういうカビはまずきれいにとれる。
これを使うのが一番。薬局で簡単に入手可能である。綿棒に付けてそっとふき取る。
表面鏡の劣化は少なかった。
巻き止め解除のスイッチ。たいていの個体でこのように塗装がはげているようである。
そういう時にはコレ。車のレタッチ用ペイントである。一本常備しておくと便利。

試写の結果は開放・最短距離で約3cm前ピン。調整を行った。

なお、コニフレックスの圧板はトンネル式でないのでガイドレールの位置とフィルム面は完全に一致する。ローライフレックスのようなピント調整の煩雑さはない。

コニフレックス後期型三台目(笑)シリアルは610204。

ヤフオクで7,850 円だったが、いろいろとトラブルがあったのでバラバラにする。

2004年11月29日追加

これがセルフタイマーチャージ用ボタン。これを押すと内部のストッパーが下がるセルフの位置までチャージレバーが動くようになる。

Aの位置までチャージするとセルフタイマーもチャージされる。

Bの位置が通常のチャージ位置。

赤ボタンをおすとAまでチャージされる仕掛け。

二眼レフならローライでもヤシカでも構造は同じようなものである。

側板も開けたが写真を撮り忘れた。

ワッシャーを積み上げて平面性を出す仕掛け。

水準器で水平を出す必要がある。これはかなり手間がかかる。

ここがコニフレックス独特の仕掛け。

なんとビューレンズの回転ロックは前板のこのネジなのである。力技にでないように(笑)

3台のコニフレックスの造りはそれぞれ微妙に違う。マイナーチェンジを繰り返していたのであろう。

巻き止め部。コニフレックスは底部にローラーがありその回転で巻き止めを行う。
ところがそのローラーにフィルムを押し付ける働きをするローラーが欠品であることが判明。このままだと巻き止めが働かず最後までフィルムが空送りされてしまう。

そこで代用品を考えた。

これはホームセンターにあったアルミパイプ。同じ形状で真鍮製、ステンレス製のものがあったが精度を要求される部品ではないため一番安いアルミ製を買ってきた。1mで税込み105円。

適当な長さに切る。芯は0.8mmのピアノ線。このままだとガタが大きくてギクシャクするのでピアノ線の周囲を紙で巻いて調整する。

差し込んで両端を瞬間接着剤で固定。

 

出来上がり。これで巻き止めは問題なく働くようになった。

これはフィルムの巻紙の外から圧迫するためのローラーなのでアバウトな作りでよいのであるが、フィルム面を押さえるローラーはもっとよい材料で作らないとキズの原因になる。(多少は工作が難しくなるがアルミ丸棒を使ったほうが強度的には有利である)

このコニフレックスで撮った写真

ありゃりゃ。三台が勢ぞろい(笑)

すべて内面反射バッフルがあるI型後期〜II型なのだが微妙に仕様が異なる。

前板のスキャン画像(300dpi)をここにおいておきましょう。

 

*伊藤二良氏の「写して楽しむクラシックカメラ」(写真工業Vol.62 No.661, p83-88, 2004.5)の記事には、「コニフレックスには最初のI型、裏蓋の開閉部分を強化し、二重露出ボタンと反射防止のバッファーを加え1955に発表された改良型(これは後にII型に含まれることになる)、シンクロ接点をドイツ型に換え、ステレオ撮影用のポイントを凹型にしたII型、ピントフードの張革が全面になったII型後期がある」と記載されてる。