ARSENAL(アーシェナル or アーセナル):キエフII |
距離計狂い・ヘリコイドスカスカのキエフII |
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露出計付きのキエフ4はすでに持っていたのであるが、不細工なので露出計なしのキエフが欲しかったのである。 | |
前板をとる。矢印部のネジをはずすのであるが、ヘリコイドに連動するギアの下にあるネジは外皮にかくれているので少しだけはがす必要がある。 | |
無限遠で二重像が一致しないため距離計の調整を行う。矢印のネジをゆるめると「旋回プリズムユニット」を左右に若干動かすことができる。この個体はこれでは調整不能であった。 | |
次の手段として、ヘリコイドと距離計を連動させているギアのかみ合わせ位置を変更することにした。 矢印のネジをはずず。一番上のネジは少し短い。なお、フランジバックを調整するために小さなワッシャが入っていることが多いのでその位置・枚数をしっかりとチェックしておく必要がある。 この個体は四本のネジすべてに一個のワッシャが入っていた。 |
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ヘリコイドとはずず。ギアとのかみ合わせの関係で上に持ち上げるだけでははずれない。右側に少し引っ張ったあと上に持ち上げる。 | |
これが距離計との連動用ギア。ここのかみ合わせを変えて二重像を調整する。 距離計が無限遠で一致した位置を保ったままヘリコイドをはめ込む。この時、ギアが動きやすいので小さなマイナスドライバやカッターの刃なのでギアが回転しないよう固定しておいたほうがやりやすい。 |
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ヘリコイド側のギア。ここにボディのギアがはまり込むのであるから上に上げてもはずれないのである。 ついでに洗浄・グリスアップを行った。 |
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シャッター関係はOKだったので今回は開けていない。リボンが切れたら徹底的にバラしてみたい。 あれっ、後ろに見えるのは「フェド」君じゃないか?いつの間に(笑) |
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レストアにあたっては を参考にさせていただきました。感謝感謝であります。 |
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巻き上げが安定しないので再度分解
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2003年3月5日
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時々コマが重なる。ファインダの掃除もかねて再度分解した。 | |
このあたりは普通の構造なのでどんどんと分解する。 | |
軍艦上はここと巻き戻しノブをはずすだけである。 | |
軍艦をはずすと下に強固なダイカストが出現。フィルムカウンタの旋盤はそのまま上に持ち上げるとはずれる。この状態でフィルム室からネジを4本、巻き上げ部右上の長いネジを1本はすすとダイカストが上に抜ける。なおアクセサリーシューははずさなくてもよい。 | |
巻き上げ部に連動した複雑きわまりないギア群に注油した。 後ろ側からネジを4本はずすと名物鎧戸シャッターに御対面できる。 フィルムの巻き上げが安定しなかった理由は(1)巻き上げとスプールのフリクションが強すぎたこと、(2)巻き戻しノブの回転がにぶかったこと、(3)パーフォレーションのスプロケットへの押しつけが不足していたこと、(4)裏蓋が変形して圧板の押しつけが強すぎたこと、の四点であったと思われる。 特に(4)が最大の原因であった。木槌で平面をだすと非常にスムーズな巻き上げに変貌をとげたのである。なお(1)があるとパーフォレーションが破壊されることがある。 |
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なんてすごいメカなのであろう。 このあたりのギアは全部油ぎれなので注油。 とにかくすごい造りなのである。5-6Kから手に入るカメラなのであるが内部は素晴らしい精密機械で、とくにプリズムの秀逸な造りにはまいってしまった。でもファインダの写真は撮り忘れてしまったのでない(涙) |
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これがチャージした状態。真ん中上のピンがチャージのストッパーである。これは幕が下りてこないように上に引っ張るための部品であるが、ここをはずしてもシャッターが落ちる訳ではない。チャージ後のわずかな幕の下降を抑えているだけのようである。この状態の大きな画像はここ。 きちんと注油してあげるだけで「チュー」とネズミ鳴きするようになる。 |
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これがアキレス腱と名高いシャッターリボン。金属の穴を通してあるので切れやすいのも当然である。これを構造的欠陥だと言う人もあるがシャッター自体の保護のためこのような構造にしたのだと思う。ツァイスの技術者がそんなことに気づかなかったはずはないのである。 なおこの個体のリボンはポリエステル製の頑丈なものであった。オリジナルなのかそれとも一度交換されたものだろうか。切れそうな気配はなかったのでこのまま退却する。交換は難しくないと思う。 |
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距離計の曲面プリズム。なんとも素晴らしい造りである。 なおキエフは軍艦側からの光がフィルム室に漏れるトラブルがよくある。構造をじっと見ると原因がわかると思う。モルトかパーマセルテープで目つぶししておくのが吉。 ギアといいプリズムといいキエフは素晴らしい機械であることは間違いない。きちんと整備してあげると非常に快適に動作するようになる。 50年も前のカメラを未整備で使って信頼性がどうのこうのという輩がいるのは信じられないし、ロシア物は整備しても精度がだせないから修理を受け付けないなどとのたまう修理屋さんの存在も不可思議である。 |
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