ヤシカ(Yashica):エレクトロ35GX(Electro 35GX)のレストア

1975年発売のエレクトロ最終機である。エレクトロ35GLを小型化した製品。

  • 2001年11月3日
  • 2003年12月11日追加
  • 2004年6月19日追加

2003年12月11日追加

行きつけのカメラ屋の床に転がっていたものをもらい受けた。

シャッターは何度かレリーズを押すと切れる。ファインダのガラス割れのジャンク。

 

カラーヤシノン DX 40mm F=1,7(5群6枚ガウスタイプ)はキズ・カビ全くなくきれい。

レンズボードをはずして原因を究明する。エレクトロ初代機よりはずいぶん基板もコンパクトになり配線も少ない。

なおレンズボードをはずすのにはハンダごてが必須である。

IC一個とトランジスタ4個で構成されている。初代エレクトロからは大幅に集積化が進んでいて経年変化に強そうである。
半固定抵抗はきっと露出の微調整用だろうけど「さわらぬ神に祟りなし」で行こう。

Aがレリーズ用の回転カム。Bが降りてきてこれを回す。わずかにストロークが不足しているのである。

Aのマイナスネジの部分が偏芯ネジになっているように見えるのであるが、しっかり接着されている。ここはBに薄い真鍮板のゲタをはかせることでクリアーした。

なお、一番下に見えるのはシャッターが上がったときの振動を抑えるためのダンパ、完全にボロボロになっていた。

このファインダガラスは曲線で切断されている。素人の工具では曲線を切り出すことはできない。

アクリル板とメンディングテープで作り直した。距離系用の切り抜きがちょっと小さすぎたかも。

ぱっと見た目にはガラスと区別がつかない。

なお、この個体には水銀電池が二本入ったままになっていた。電圧はちゃんと1.3V出ていて今でも使える。水銀電池は驚くべき高寿命である。

とうとう集まってしまったエレクトロ35GXの白と黒。

中国では「白い写真機も黒い写真機も写真を撮れるのは良い写真機」というらしい(嘘)

2004年6月19日追加

もう一台もらってきた。シャッター切れず。レンズカビのジャンク。

シャッターが切れないのはストロークが微妙に不足するためで上と同じようにしてOK。

この個体は電池を入れない状態でシャッターを切ってもシャッタースピードが不安定で1/30以下になったりする。仕様では常に最高速で切れるはずなのである。

前から分解。

右がセルフタイマー、左のソレノイドがシャッターの開閉時間(正確には開く時間)を調整する。電池が入っていないときは1/500secであとは明るさに応じて開く時間を長くするのである。

赤矢印のカムがソレノイドにくっついている状態でシャッターが開放になる。黄矢印のカムがシャッター開閉用である。

このカムが油切れになるとデフォルトの状態でのシャッタースピードが遅くなるのである。電子部品とソレノイドはシャッター開放時間を延長する方向にのみ働くので、最高速はこのカムの回転で規定されてしまうのである。

ごく微量の注油でOK、注油しすぎてシャッター羽根が粘ると後ろ側の電装を降ろして完全に分解しなくてはならない。

 

以下は2001年11月3日の記事

 

エレクトロ35のあまりの写りの良さのため手に入れてしまった最終機GX。

シャッターが十分に開いていなかった。

 

カラーヤシノン DX 40mm F=1,7
軍艦を開けて掃除しているうちにシャッターは完調になってしまった。不思議。
基本構造はエレクトロ大物と共通している。相変わらす太めのビニール線で手配線されている。
フィルムカウンタを進めるために螺旋状のギアが二つついている。
  なぜか勝手になおってしまったので掃除だけで終了してしまった。