CITIZEN: MXVシャッターのレストア

ミノルタオートコードMXVなどに使われているシャッターの整備を仰せつかった。

2007年5月17日

 

  • 東京在住の某有名写真家さんに差し上げたカメラ。
  • 巻き上げ中にシャッターが開くというトラブルが発生しブローニ10数本がパーになったとか。
  • 平身低頭修理をお引き受けした。
  • サクッと分解。
  • この時点では30分もかからずに終了すると思っていた。
  • 羽根をクリーニングするためには後ろから開ける必要がある。
  • ネジが3種類あるのでどの位置にあったかメモしとこう。
  • ここまではな〜んにも難しくない。
  • 羽根をベンジンでクリーニング、キムワイプで拭いて組み上げて終了。
  • と思ったらチャージする途中でシャッター全開!
  • 再び分解してじっと考える。
  • シチズンMXVはプロンター型シャッターの末裔なので、プロンターによくあるバネの折損を考える必要があるかなぁ。
  • 見えている範囲はOK。
  • 見えないところに悪魔が二匹潜んでいるのである。
  • ガバナを降ろして観察。
  • 金メッキの部品はシンクロスイッチ。
  • 犯人はこのバネ。矢印の方向にシャッターを押さえ込んでいる部品なのだ。
  • これが折れるとチャージ時にシャッター羽根が開いてしまう。
  • ジャンク箱にあったバネを整形して似たようなバネを作る。
  • 実はオリジナルの形は知らない。
  • で組み立てて終了と思ったら、今度は時々シャッターが空打ちする。
  • プロンターに良くあるトラブルで、一見シャッターが切れたような音がするだけにやっかいな症状だ。
  • このコの字型のカムがシャッター羽根の開閉を行なうのだが、これが外方に押し付けるバネが非常に細いのでよく折損事故がおこる。
  • はいはい、また分解。
  • ガバナははずしてベンジン浴に。
  • このあたりから順次分解。
  • かならずデジカメで記録しておくこと。
  • 最後にシャッターチャージカムをはずすのだが、この根元にかかっているバネは非常に強力なのできっと苦労する。
  • 元に戻すのはもっと苦労する。
  • シャッターチャージカムの裏側。
  • 矢印のバネが折れると空打ちになるのだ。
  • 同じような大きさのピアノ線でバネを作成しかけなおす。
  • 非常に小さな部品なのできっと苦労するよ。
  • で、めでたく復帰したのであるが、今回は「バネ二本の折損」という珍しい壊れ方だったのである。こんなの、プロの修理屋さん引き受けてくれるのかなぁ。自分なら「部品がない」といって送り返すけど(笑)

 

  • あのバネの本来の姿が気になったので、もう一台のオートコードMXVを整備を兼ねて分解してみた。
  • こうなっていたらしい。とするとバネは折れたのではなくて曲がっていただけなのだろうか。しかし人為的に力を加えないとああはならないと思うが。
  • バネを取り出すとこんな形だった。
  • シャッターの裏蓋のネジが一本長くて、このバネにテンションを加える働きをしている。
  • この上にガバナが乗るのである。
  • ところでこのオートコード、前皮がうまく剥げたのでスキャン画像をおいておく(300dpi)。