リコー:オートハーフSEのレストア

ジャンクのおまけ。あんまり興味のないカメラだったのでほってあったが、あけてみるとユニークな構造で感心した。さすが、メジャーにはなれないが実力はナンバーワンのリコーである。セレン死亡のため、シャッタースピード1/125sec固定・マニュアル絞りのカメラにしてある。いやー、これがよく写るんだわ。

2001年9月6日

 

 

  • リコーオートハーフSE。ジャンクセットの片隅に入っていた。シャッター不動。
  • レンズ:リコー 25mm F2.8、シャッター:セイコーシャ 1/30,1/125
  • リコーのライブラリにも出ている。
  • オートとマニュアルの切り替えが可能。
  • マニュアルではシャッタースピードは1/30secに固定されるのでストロボ専用のよう。
  • フロントカバーをはずす。黄色の矢印の部分をはずせばとれる。
  • JFC会の宮本@BIN様、ハーフ番長@鈴木様、荒井@HIROA様、 奥井@hotty様にいろいろとノウハウを教えていただきました。ありがとうございます。
  • シャッターの固着があるので分解が必要。
  • まず前玉をはずす。バルブがないのではずした位置をメモしておくほうが良いかもしれない。
  • この写真では絞りのカバーをとっているが、その必要はない。
  • シャッターレリーズ部をはずす。これは二枚の鉄板が小さな二つのバネで連動する仕掛けになっている(セルフのため)。バラすとバネの取り付けが面倒なのでできるだけブロックではずすこと。
  • 中玉もはずしてみたが、その必要はない。後玉は絞りユニットの裏側についている。
  • 絞りユニットをはずす。ネジ3本ではずれる。セイコーシャの二速シャッター。
  • シャッターユニットを取り外す。裏側のモルトが劣化しているので取り替えた。
  • シャッターユニット。セイコー製。
  • 1/30, 1/125secの2速。矢印がシャッタースピードの切り替え部。フリーの状態ではスロガバナーが動いて1/30secになる。
  • ネジ3本で開くのだが、バラバラになって収拾がつかなくなるおそれがあるので、全体をベンジンにつけ込んで洗浄し、必要箇所に注油するにとどめた。
  • なお、シャッターはチャージを必要としないいわゆるエバーレデシャッター。
  • このタイプは羽根の粘りに弱い。
  • 下部のギアにも注油をおこなう。
  • 劣化したモルトも剥がして貼りなおしておこう。
  • 通常のメンテのためにはシャッターユニット、絞りユニットはこの形ではずすだけでOK。
  • セレンが死亡しているのでオートはダメ。
  • マニュアルが使えるのだが1/30secでは厳しいので、1/125secに固定した。
  • 矢印のようにプラ板をはめ込む。
  • メータ自体は生きているのでセレンが入手できれば復活可能。

 

  • こちらは本機の特徴であるゼンマイドライブ部。
  • 手裏剣カムをその右にある四角いカムが押さえ込む仕掛けだが、完全に固着しており動かない。
  • スプロケットに噛むギアを動かしても動くのはフィルムカウンタだけ。

  • シャッターロックのピンは手裏剣カムの上にあるコの字型の先があるピンが左にうごいて解除される。
  • シャッターチャージのリンクの固着が問題。このままではどうにもならないのでスプリングの巻き上げノブをはずす。
  • 化粧板は接着されているので、極細のマイナスドライバを使って慎重にはずす(HIROAさん、ありがとうございます)。

  • その下に見えるマイナスネジ3本をはずすと薄緑色のプラ板がはずれる。
  • バネがチャージされていると飛び出してくる可能性があり危険らしい。
  • バネを取り去る。
  • ノブがとれると底板は簡単にはずれる。
  • これが問題のリンク。
  • スプロケットにかみ合うギアを回してもチャージらしき動作にはならない。手裏剣カムの左の部品の根元に付いているカムがあやしい。
  • この作はカギ型になっていて手裏剣カムの上のカムに引っかかる仕掛けのよう。このカムの移動でシャッターロックカム全体が右に移動する。
  • 試しに手で押し込むとチャージされる。
  • この状態がチャージ前。
  • 手裏剣カムの右にある三つ又のカムが重要な働きをしている。フィルムカウンタがSマークを越えるとカムが右に回転し、手裏剣カムに向かってシャッターロックをはずすカムが移動。手裏剣カムもロックされる。
  • す、す、す、すごい構造だぁ。設計者は天才かしらん?
  • この状態がチャージ後。
  • カムの付け根をベンジンで洗浄し、注油をおこなうことでシャッターチャージに限っては復旧した。
  • オタクなメーカ、リコーの面目躍如です。たいへん機械として魅力的な作りであった。